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株式会社NTTデータ北海道

TOKACHI Grand Nuts” とかち      ぐらん    なっつプロジェクト
-落花生を軸とした高付加価値農業の実践と地域内バリューチェーンの創出-

別紙 「なぜ、十勝で落花生か」

(1)日本最大の食料生産基地
十勝は北海道東部に位置し、雄大な十勝平野を拓いてつくられた日本有数の農業地帯です。地域内の農家数は6000戸、畑の総面積は25.4万haと実に全国の畑の約12%を占めます。農家一戸あたりの経営耕地面積は38haに達し、十勝全体の食料自給率は1200%を超え、国内に類を見ぬ日本最大の食料生産基地となっています。(注4)
十勝では、豆類、小麦、甜菜、ジャガイモの4作物を基幹とした輪作が行われており、いずれの作物についても生産量は日本一です。また、十勝には農業に関連する大学や試験研究機関、企業が多数集まっており、「フードバレーとかち」構想のもとそれらが連携協力を行うことで農業の振興や地域内バリューチェーンの構築、安全で良質な十勝ブランドの確立を推し進めています。
一方、EPA(注5)や FTA(注6)の発効に伴う市場のグローバル化により、国産作物と輸入作物との価格競合が生じており、今後、この傾向の激化が懸念され、農家からは既往の作物に代替可能な新規作物の導入を求める声が上がっています。また近年では、農業従事者の高齢化に伴い、これまでの広大な畑を用いた大規模生産型農業から、一部野菜等の市場価値の高い換金作物を中規模で栽培し収益を得る「中規模高収益型農業」へと生産体系の指向に転換してきています。
また、十勝の農業生産物は作物のまま出荷することが多く、加工して域外に出荷する食品加工率は残念ながら全国最下位となっています。

(2)希少換金作物である「落花生」
落花生は世界各地で栽培され、生産量は豆類の中で大豆に次いで多くなっています。日本ではテーブルナッツとして消費される印象がありますが、世界的には約半分が食用オイルとして消費されています。また、加工適性が高く、ペーストにした上で、ピーナッツクリームやピーナッツバター、菓子原料などと多様な用途で利用されています。さらに近年では、タンパク質や脂質、糖質、ビタミン類など栄養が豊富であることに加え、抗酸化作用を持つレスベラトロールや神経細胞の活性化作用を持つレシチンなどを含むことが明らかになり、機能性栄養食品としても注目を集めています。
落花生は日本人にもなじみの深い食材で、国内の年間消費量は約9万トンと、同じ豆類の小豆に匹敵する規模になっています。一方で、この落花生の消費量は世界的に見るとまだまだ低く、国民1人当たりに換算した消費量はアメリカ合衆国の1/10に満たない数値です。とりわけ日本では、落花生オイルの加工・流通が立ち後れているため、油糧としての消費が諸外国に比べて極めて少なくなっています。このことから、落花生の国内市場に関しては、オイル、ペーストに着目した新たなマーケティング戦略を展開することで、一層の規模拡大を推し進めることが可能と考えています。
一方、落花生の国内生産は1960年代を境に減少の一途をたどっています。作付面積と生産量はここ25年で1/3以下にまで縮小しました。現在、国内における落花生の約90%は千葉県と茨城県の2県において生産されています。しかしながら、両県とも就労者の高齢化や生産コストの高騰から栽培を諦める農家が後を絶たず生産量は激減している状況です。その結果、落花生の国内自給率は2016年時点で約10%と極めて低く、国産落花生は慢性的な供給寡少になっています。
農水省統計資料によると平成28年度の落花生の庭先取引価格は、60kg当たり5.8万円です。帯広畜産大学の圃場における栽培試験では、10a当たり300kg程度の収量が得られており、それをもとに試算すると粗収入は10a当たり20万円~30万円程度にもなります。比較のために、北海道の主要作物である小麦の粗収入の3倍程度となります。

(3)十勝における落花生生産の可能性
十勝をはじめ北海道では節分に大豆ではなく落花生を撒いて厄払いを行う習慣があり、落花生が食材としてだけではなく文化的にも広く市民に浸透しています。人々の落花生に対する関心は高く、2016年には「北海道ラッカセイサミット」が開催されており、生産者や流通業者、一般消費者が交流し落花生についての情報交換を行っています。
十勝における落花生の生産例は少ないですが、個々の農家や生産団体による小規模の商業栽培が行われており、栽培自体は可能であることが証明されています。昼夜の寒暖差が大きい十勝で育った落花生は品質に優れ、換金性が高く小規模な栽培であっても生産者にとって貴重な収入源となっています。また、十勝の農家は農業機械の所有率が高く圃場の基盤整備能力に長けているほか、大豆や小豆、金時など多くの豆類作物を栽培してきた経験や実績から豆類の栽培に対する技術的素養が高く、今後栽培規模を拡大していくことで、十勝は国産落花生の新たな生産基地になり得ると期待を寄せる食品企業も多くあります。

 (注4)十勝地域の数値は十勝総合振興局(2016十勝の農業の情報)、フードバレーとかち推進協議会の情報を元に記載
 (注5)EPA (Economic Partnership Agreement) 経済連携協定
 (注6)FTA (Free Trade Agreement) 自由貿易協定